埼玉県支部平成21年秋季講演会報告

平成21912()午後2時から埼玉県支部平成21年度秋季講演会が講師に

東レ(株)顧問 アジア太平洋脱塩協会会長 工学博士 栗原 優氏(群馬大学工学部昭和40年卒、昭和45年工学博士(東京大学)をお招きして冨士原支部長はじめ支部会員、如水会他一般参加の方を合わせ29名の参加を得て埼玉県労働会館において開催されました。

今回の講演では、「世界の水環境問題に貢献する日本の膜技術と日本の水国家戦略―水処理技術の進化と市場の成長」

と題して講師の1970年代から30年以上に渡る水処理技術の研究開発成果の一端を発表頂くとともに、人口増、都市化、砂漠化の進行と共に、今後ますます深刻化する懸念がある「水に関する諸課題」と解決策、特に日本が果たすべき役割について国際的視野から講演頂きました。
海水淡水化に代表される水処理技術に関しては、最先端の電子顕微鏡技術と陽電子消滅寿命測定法を駆使してこれまで「逆浸透」現象として扱われてきた脱ホウ素過程が超微細な孔の存在によるフィルター効果によるものであることが証明された経過等、高度な内容を判りやすく解説頂き学界の最先端事情に触れることができました。さらに、水処理膜技術の進歩によりこの技術はいろいろな膜により、全ての水資源の有効活用ができる。

    .小規模分散型から大規模集中型まで、幅広く対応できる。

    グローバル&ローカルな種々のニーズに対応できる安全・安心な技術であることが示されました。

最後に今後の展望として

スケールアップを含む更なる開発により河川水の自然浄化/沈殿・塩素処理という現状の手法より低コストで上水を得る可能性があること、それにより今後地球環境問題に勝るとも劣らぬ重要性をもつ「水に関する諸課題」の解決策として従来の固定観念を打ち破る展望を力強く述べられました。

翻って国際水ビジネスにおける欧米諸国に比し必ずしも優位にない日本の現況と今後とるべき戦略についても言及され、国家プロジェクトとして提案、推進中の産官学の総合連携による「チーム日本」の活動の展望や大きな視野からの取り組みの重要性と今後の発展への希望を述べられて締めくくられました。

質疑では栗原講師の紹介者であり東レ在勤中に講師の上司であった中里見勝会員(S29化工)からのユーモアにあふれる質問をはじめ如水会の方々から質問があり引き続き行われた懇親会でも話が尽きず大津市に帰任される講師の時間一杯まで熱心な議論続きました。

(文責:企画担当 山口健二(S37)